自転車対歩行者の事故が増えてきたからといっても、相変わらず自動車との事故の方が多いことは変わりません(事故数は横ばいではありますが)。
ただし、過失の割合によっては、自動車よりも自転車が悪くなることがあります。
自転車側が加害者になってしまう場合もあるということです。
自転車側の過失度合いが大きくなってしまう可能性が高いものを挙げてみます。
・酔っ払い運転(車両は飲酒運転禁止です)
・夜間、無灯火で走行(夜間は前照灯をつける義務があります)
・2人乗り運転(自転車にも乗車人員制限があります。幼児1人を補助椅子をつけて同乗させることは可)
・傘を差しての片手運転(片手・手ばなし・傘さし運転は禁止です。さすべえは付けても良いが、さすべえに傘を差すのはダメです。傘を差すこと自体禁止です。)
・携帯電話・メールをしながらの運転
・スピードの出し過ぎ
・故障したまま自転車に乗る(ブレーキ故障など)
被害者でも加害者でも当事者になっってしまったらいずれも大変です。
自転車に乗っていて、クルマに轢かれて大ケガすることもあるでしょうし、逆に歩行者にぶつかって相手に大ケガさせてしまうこともあります。
たかが自転車と侮ってはいけません。
自転車もかなりのスピードが出ますし、歩行者からすれば危険な乗り物です。
当たりどころによっては、ケガどころか重度の後遺障害を負ったり死亡するケースもありえます。
大人はもちろんですが、特に子供の場合、こうした危機意識はとても薄いです。
自分の子供が自転車に乗る場合は、こうしたことは常日頃から良く言って聞かせておくべきでしょう。
特に中高生ですね。体は大人と変わらないんですから。
自転車には、自動車にある自賠責保険のような強制保険の制度がないため、自転車事故の当事者が必ずしも保険に加入しているわけではありません。どちらかというと、加入していないことのほうが多いでしょう。
よって、十分な賠償資力を持っているとは限りません。
このようなことも、自転車事故が起きたときに問題を複雑にする原因にもなっていると言えます。
自転車事故の判例を挙げておきます。
・帰宅する途中、無灯火で走っていて歩行者に気付かず衝突し、相手が死亡した。→ 賠償金1,169万円。
・街灯のない道を走っていて、歩行者に気付かず衝突、相手が死亡。→ 賠償金3,912万円。
・通学途中に走っていて、歩行者に衝突し、脊髄損傷による心身麻痺を負わせる。→ 賠償金6,008万円。
・小学生が帰宅途中、歩行者と正面衝突し、相手は頭蓋骨骨折等で意識不明。→ 賠償金9,521万円
・帰宅途中に走っていて、歩行者に気付くのが遅れてそのまま衝突し、相手が死亡。→ 賠償金1,169万円。
このように、自転車が加害者となって賠償責任を負っている例はたくさんあります。
特に3つ目や4つ目の判例などは、学生には到底払えない金額ですから、親にその責任が掛かってくるわけです。
学生だからと言って、多めに見てくれるわけではありませんので、親のしつけは限りなく重要であると言えるでしょう。